中矢伸一の「日々是弥栄」

日本は良い国だが、日本人は幸福なのか

私は公共の交通機関というものに、乗る機会があまりありません。

さいたま市の大宮駅からも、たくさんの路線バスが発着していますが、一度も乗ったことはありません。

都内に出る時も、多くの場合は車で行きますが、電車を利用することもたまにあります。

到着時間を厳守しないといけない時などは、電車ですね。時間が読めますので。

 

電車で移動したりしますと、当然ですが、いろいろな人が乗ってきます。

でも、その乗客の顔は、どこかうつろです。

本や新聞を読む人もいますが、最近はスマホなどの携帯端末に没頭する人が多いですね。

寝ている人も多いですし、目をつむって座っている人もいます。

 

これはとくに目新しいことではなく、昔からそうなんですが、みんな何かこう、生き生きとしていないんですよね。

明らかに潜在的な病気を抱えていると思われる人も多いです。

それは、肌の状態や目の光、体型、姿勢、歩き方などから、だいたいわかります。

二人に一人はがんになる時代と言われるくらいですから、一億総病人と言えばそうなのかもしれません。

 

80年代の頃、私はあるオーストラリアの元政治家で、大臣経験者のHさんに気に入られ、翻訳の仕事をしていました。

Hさんは親日家で、たびたび日本を訪れていましたが、ある時、私にこう質問するのです。

「電車に乗ると、たいていの人が目を閉じて座っているけど、あれはどうしてなの?」

そんなことは考えもしなかったので、何と返答したらいいか戸惑いました。

「みんな疲れてて、眠いんじゃないですか」

するとHさんは、

「へー、そうなの!?  私は日本で電車に乗ると楽しくてしょうがなくて、景色を見たり人を観察したり、キョロキョロしてしまうよ」

と、笑いながら言うのです。

 

たしかに、日本人は外国の人に比べると、いつも疲れているような感じで、目に生き生きとした活力があまり感じられないように思いました。

それは今でも、あまり変わっていないようです。

 

2018年度の「世界幸福度ランキング」を見ても、日本は上位50位にも入っていません(54位)。

ちなみに1位はフィンランド。オーストラリアは10位でした。

https://rocketnews24.com/2018/03/15/1032632/

 

日本は良い国、素晴らしい国とは言うものの、国民がどれくらい「幸福」だと思っているかは、その人によると思いますが、満足度としては意外に低いようです。

 

これはどういうことなんでしょうか。

 

日本人は勤勉な国民性で、毎日一生懸命働いてるはずなのに、幸せを感じられないとは。

じゃあ、何のために、そんなに身を粉にして働いているの?

若い人ならともかく、中年を過ぎてもHさんのように毎日が楽しいという人は、少ないのではないでしょうか。

 

 

話は変わりますが、安倍首相が、消費税率を来年10月1日から予定通り10%に引き上げることを表明しましたね。

経済が冷え込まないように、引き上げによる税収のうち半分を国民に還元するとか、軽減税率を導入して飲食料品は8%のまま据え置くなど、いくつかの措置を取るそうですが・・・。

どうなんでしょうか。重たい気分になるのは、私だけではないと思います。

 

景気というのは「気」ですからね。

みんなが「買おう」とか「投資しよう」というポジティブな気になれば景気は上向くし、みんなが「買いたくない、できれば売りたい」「投資なんかしたくない、貯め込んで塩漬けにしておきたい」という内向きな気になれば、景気は落ち込みます。

だからやっぱり、根本は「気」なんだと思います。

 

国民が明るく、前向きな気持ちになり、将来に希望が持てれば、購買意欲も湧くし、投資にも積極的になれます。

 

だから、税率を上げるよりも先に、国民の幸福度が上がるように、努力した方がいいように思うのですが。

 

皆さんはいかがですか? 毎日が楽しく、充実していますか?