中矢伸一の「日々是弥栄」

『新潮45』を休刊に追い込んだのは誰か

「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という特集を組んだ『新潮45』が、発売か

らわずか一週間で休刊することになったそうです。

 

新潮社には抗議が殺到したそうですが、日本を代表する大手出版社の一つである新潮

社が、こんなに簡単に圧力に屈するとは、驚きました。

 

この特集を組んだ『新潮45』の編集部の皆さんも、さぞ無念だろうと思います。

 

社内でもいろいろな意見があったそうですが、異なる意見をぶつけ合って自由闊達な

議論をするのが、健全な言論界のあり方だと思いますし、その旗手たるべき新潮社で

こういうことが起きるとは。

 

これでますます、「LGBTに対する“差別的”意見は封殺される」風潮に拍車がかかる

と思います。

 

LGBTだけでなく、障がい者や在留外国人などのマイノリティーに対する意見は、こと

ごとく監視・封殺の対象になるということですね。

 

ネット上では多くの人が、そんな風潮を危険視するコメントをしていますが、私もこ

れは立派な言論統制にあたると思います。

 

まあ、今回の『新潮45』の場合は、封殺ではなく「自殺」という感じですが。

会社として、過剰に反応したということではないかと思います。

 

ところで私は、どういうわけか昔から新潮社とは縁があります。

文藝春秋社と新潮社は、ライバル関係にありますが、文春とは縁がなく、接触がある

のはいつも新潮です。

 

何回か過去に取材を受けたことがありますが、いつもその記事内容に満足しているわ

けではないものの、いくらかメディアとしての信念とリテラシーを持っているのが新

潮社だと思っていました。

 

原発事故後、放射線のことで騒がれた時も、きちんと専門家に取材し、冷静な記事作

りをしていましたし、危険だ危険だと根拠なく煽り立てることなく、真実を報道しよ

うという姿勢がありました。

 

新渡戸記念館の廃館問題についても、他のメディアがほとんど無視する中、『新潮

45』は、館長の新渡戸常憲氏に直接取材し、記事にしてくれました。

(その記事は、2015年10月号の特集「愚者の大行進」に載っています。)

 

そんな『新潮45』がやり玉に挙げられ、反差別主義者からの集中砲火を浴びる形で休

刊に追い込まれたことは、私も大変残念に思います。

 

ですが、お蔭様で私もこれで、反差別主義者たちへの敵愾(てきがい)心が湧いてき

ましたよ。

 

自分とは違う意見、自分の気に入らない意見はすべて力ずくで押さえ込む。

議論することさえ許さない。

まるで中国共産党のようですね。

 

私には幸い『玉響』という、小さいですが、どこからの圧力も受けない月刊誌があり

ますので、これからも法に触れない範囲で「自由に」意見を書いていきたいと思いま

す。